ドイツ・中国の実用新案登録の意味

ドイツ・中国の実用新案登録

日本については「実用新案は特許と違って費用の無駄
という見解をまとめましたが、諸外国の場合はどうか、
というと特にドイツ・中国では事情が違ってきます。
日本の実用新案制度は、海外法制に沿って現在の無審査制度が
導入されましたが、権利行使の際の制限事項が多くかけられ、
その結果、無価値な制度となってしまいました。

しかしながらそのベースであった海外法制では、
その制限事項が多くの場合かけられていないということで、
特にドイツ・中国で使い勝手が良い状況にあります。

日本では技術評価請求をしなければ権利としての
価値はありませんが、ドイツ、中国などでは
実用新案登録にそのような制限はありません。
つまり、出願すれば直ちに権利になるとともに、
他者に対して権利行使をすることができます。

ただ訴訟段階では、権利の有効性が争点となりますので、
当然のことながら有効でない権利を取得しても
全く特許と同じというわけにはいきません。

各国の権利取得料金・費用を40万円程度に抑えられる

大きいのは審査段階でのコストが抑えられる点です。
出願費用のみですので、翻訳費用が常識的な範囲なら、
総費用で40万円程度かそれ以下に抑えられます。
海外であることから、特許の場合は審査段階でのコストが
大きくなるところ、実用新案登録は無審査制度なので
費用は出願時のみとなります。

ただ、ドイツ、中国の場合は英語ではないので、
それぞれの国の言語への翻訳料金がかかります。
それでも翻訳費用の問題だけですから、
明細書の分量を少なく抑えれば翻訳コストも抑制されます。
特に電気・機械分野の場合、明細書のボリュームが
増えるのは中間処理の際の選択肢を増やすためですので、
基本的に手続補正を考慮しない実用新案登録では、
権利範囲に関係しない部分をある程度削って
ボリュームを減らしておけば翻訳費用も抑えられます。

オーストラリア等、ドイツ・中国以外の場合

なお、実用新案といえば、外国ではまず中国、ドイツ
が目立ちますが、その他では、韓国、台湾、タイ、
マレーシア、オーストラリア、ブラジル、ロシア、
ウクライナ、チェコ、スペインでも採用されていますので、
これらについても検討の余地はあります。

ただし、権利行使の制限がある点で、
ドイツ・中国が、最も使い勝手がよいといえます。

オーストラリアは英語ですので、翻訳料金の問題は
さらに抑えられますが、権利行使の際に制限がかかります。
その点日本と同様となります。
しかしながら、中間処理の費用がかからず、出願するだけで
まずは権利になるという点で検討の余地があります。
これは一部の審査主義の国を除けばすべて同様です。
係争段階で審査に移行するという戦略をとることができます。

詳細についてはお気軽にお問い合わせください。