意匠登録とは
弁理士が扱う題材のうち、一番一般になじみがないのが意匠登録。
「意匠」でうっかり検索してしまうと建築物の事例などが
出てきたりして色々混乱してしまいます。
「特許」「実用新案」「商標」については何らかのイメージを
持たれて問い合わせを受けることが多いのですが、
「意匠登録出願」というものをそもそも知っている人は
「特許」「実用新案」「商標」に比べて非常に少ないと思います。
しかしながら意匠登録出願をして意匠権を獲得することは、
他の権利に比べて遜色のない効力を発揮します。
意匠とは何か。とりあえず分からないから検索してみると、
どうやらデザインのことらしい。
そして、「物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩
又はこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせるもの」
という法律用語の解説がされているけどよくわからないし、
まあ要するにデザインか、と理解されるケースが多いのでしょう。
六面図が用意できれば意匠登録できる
ざっくりいうと、「物の形があって、新しいものは意匠登録出願できます」
ということになります。具体的には、創作物の六面図を、
写真なり図面なりで持ち込んでいただければ、
それを特許庁に対して登録手続きいたします。
ここで「デザイン」という言葉にとらわれてしまうと思うのですが、
デザインと言っても工業デザインです。
いわゆる装飾性を求めるものではありません。
工業製品は何らかのデザインを持っていますね。
コンセントとか、冷蔵庫とか、コンピュータとか。
その程度のデザイン性であり、「見た目に新しい」
という程度の意味でのデザイン性を意味します。
登録意匠の検索方法
登録意匠は、特許庁jplatpatで検索することができます。
- 自分の考えたアイデアは新しいのか?
- 過去にどんなものが登録されているのか?
を確認するために、検索することで調べることができます。
以上のリンク先をクリックし、検索したい意匠の物品名を入力します。
例えばここでは物品名として「茶碗」と入力しました。
そして一番下の「検索」ボタンをクリックします。
検索件数が出ますので、一覧表示に移ります。
すると以下のような検索結果が出てきます。
図面・写真の一覧が出ます。サムネイル表示で、1つ1つ開く
わけではないので、数が多くてもある程度追えると思います。
ここから、先登録があるかどうかを確認するとともに、
どんなものが登録になるのか、の雰囲気を見てみてください。
厳密には物品名以外の入力項目も活用する必要はあるのですが、
物品名の検索だけで大まかな目的は達成することはできます。
どういう場合に意匠登録するか
言い換えると、発明品と思って考えたものの大半は
特許や実用新案の代わりに、もしくは並行して
意匠登録を受けることができるということです。
そして、見た目に似ているものは、権利侵害を主張することができます。
大体ニセモノだったら通常は見た目にも似ていますから、
意匠権でかなりの部分をカバーできます。
実用新案登録の代わりの意匠登録
まあ発明と言っても方法の発明や、ソフトウェア等、
形のないものなんかは意匠登録されませんが、
実用新案の保護対象となるような、構造物なんかは
意匠登録も同時に受けることができます。
こうした理由から、実用新案を受けたいという
お客様に対しては、実用新案の使い勝手の悪さから、
→ 実用新案登録が無意味な理由と、安く効果的にする方法
→ 実用新案は特許と違って費用の無駄
意匠登録出願をお勧めするということにしています。
しかも意匠登録は比較的安い
「意匠権は、独占権という効果は特許権とそのまま同じで、
特許庁の審査が早く、審査費用も格段に安く、当所の代理費用も安い権利です。
また、審査も厳しくなく、出願したら大半はそのまま登録となります」
というメリットもあるので、詳しくは「意匠登録出願」を参照ください。
画像の意匠とは
画像の意匠について、ニーズは本来あると思うのですが、
審査基準を読まないといけないのが面倒な感じではあるので、
審査基準から主要部分を抜粋しました。
簡単に言うと、物品の一部に液晶表示部があるときに、
そこに表示される画像について、物品と一体となったもの
として意匠登録を受けることができるというものです。
ただし、意匠ですので、画像単体で意匠登録とはならず、
以下のような要件が必要となります。
抜粋ですので、詳しくは審査基準を確認又は弊所へお問い合わせを。
74.1.1 物品の表示部に表示される画像が、その物品の機能を果たすために必要な表示を行う画像であること
物品の表示部に表示される画像が、意匠法第2条第1項に規定する意匠を構成するためには、当該画像が、その物品の機能を果たすために必要な表示を行うものでなければならない。
物品の「機能」とは、当該物品(別表第一による物品の区分、またはそれと同程度の区分を指す)から一般的に想定できる機能を意味する。例えば「置時計」であれば、時刻を表示する機能が物品の「機能」である(【事例1】)。複数の機能を物品自体が備え持つ物品は、それぞれの機能が物品の「機能」であるといえ、例えばストップウォッチ機能付きの「腕時計本体」であれば、時刻表示機能、時間計測表示機能が物品の「機能」といえる(【事例2】)。
なお、意匠登録を受けようとする意匠に係る物品が一般的に想定できない機能を有している場合は、願書の記載等でどのような機能を有しているかを示すことで、その機能を果たすために必要な表示を行う画像についても保護を受けることができる(【事例3】)。
物品の機能については、例えばデジタルカメラの撮影機能のほかに、撮影時に水平状態を確認するための水準器表示等、機能と密接に関連した付随機能が存在するが、このような付随機能を果たすために必要な表示を行う画像についても、物品の機能を果たすために
必要な表示を行う画像とする(【事例4】)。
74.1.2 物品の表示部に表示される画像が、その物品にあらかじめ記録された画像であること
物品の表示部に表示される画像は、その物品にあらかじめ記録された画像である必要がある。したがって、テレビ番組の画像、インターネットの画像、一体として用いられる他の物品からの信号による画像を表示したものなど物品の外部からの信号による画像を表示
したもの、物品に接続又は挿入された記録媒体に記録された画像を表示したもの及び事後的に記録された画像を表示したものは、意匠を構成するものとは認められない。
また、物品から独立して創作され、販売されるビジネスソフトやゲームソフト等をインストールすることで表示される画像については、物品にあらかじめ記録されたもの(プリインストールされたもの)であっても、意匠を構成しないものとする。